まだ市内の病院に母が入院していたころ、見舞いに行くのはいつも仕事終わりの夕方でした。
調子のよい時は食事も喉を通っていましたが、段々と食べられなくなり、私のこともわからなくなり、話しかけても反応もなくなりました。私はいつも、暗くなった病院のロビーのソファに座って、一人で泣いてから帰るのが日課になってました。
そんな中、ふと母に、好きだった長渕剛さんや舟木一夫さんの曲をイヤホン越しに聴かせてみました。すると反応が鈍かった母の目から涙がスッとこぼれたのです。そして、動かないはずの指でリズムをとりました。奇跡だと思いましたよ。意識がないわけじゃなく、動かせないだけだったんですね…
「歌」ってすごいなと思いましたよ。匂いもそうですが、一気に記憶に語りかけるようですね。
そんなこともあり、私の福祉タクシーの車内では60年代、70年代の歌謡曲を流してるんですよ。車に乗っている少しの間でも、スッと耳から入った曲が、楽しかった思い出を呼び覚ましてくれたらいいなと思います。
ちなみに母ですが、その後、奇跡的に取り戻し、今も病院で療養しています。病院の先生や看護師さん、スタッフの方々に支えられて、楽しく過ごせてるようです😊